日本がデフォルトしない理由は豊富な個人金融資産にあった

   

国債残高の推移図を見ると、日本がバブル経済に沸いていた平成元年(1989年)には、財政収支は黒字、プライマリーバランスも黒字でしたが、それでも国債は増加し続けています。

国であっても企業であっても、借入を増やすことが必要であり、かつそれがプラスになることは多々あります。

問題なのは、返済の目処もつかないのに無尽蔵に借入が増加していく事態です。

日本の国債発行残高は今でも十分に多い水準ですが、全く信頼度は揺らいでいません

なぜ返済への信頼度が揺らいでいないのでしょうか。

GDPに対する債務比率で見ても、日本の債務比率は格段に高く、先に欧州債務危機を引き起こしたギリシャやアイルランドよりも高い水準になっています。

しかし、日本がデフォルト(債務不履行)してしまうと見ている市場参加者はほぼ皆無です。

巨額の財政赤字にもかかわらず、なぜデフォルト不安が高まらないのでしょうか。

それらの理由は、豊富な個人金融資産にあります。

金融危機に陥ったギリシャやアイルランドをはじめ多くの国では、お金持ちの子供が少ない(国内に金融資産が少ない)ので家の外(海外)から借金しなければなりません

つまり自国で発行した国債を買ってくれる自国民がいないので、仕方なく外国人に販売する(外国人から借金する)形でなければ財政が成り立たなくなっているのです。

ギリシャやアイルランドなど、すでにたくさんの国債(借金)を発行している国々に対して、外国人は返済されなくなってしまう(デフォルト)リスクに備えて、高い貸出金利を要求しています。

 

日本は、2010年にGDPで中国に抜かれて世界第3位となったことにみられるように、アジア諸国の急速な成長に伴い、アジア内での市場としてのプレゼンスが低下してきています。

2003年の日本のGDPはアジアトップであり、シェアは44%に及んでいましたが、2013年には中国に次ぐ2位となり、シェアも20%と半減してしまいました。

さらに2018年予想になると、日本のシェアは17%となり、ASEAN&インド(20%)に抜かれてしまいます。

日本の国としてのプレゼンス低下は否めませんが、では、東京の都市としてのプレゼンスはどうでしょうか。

森記念財団が毎年行う『世界の都市総合力ランキング」の経営者視点での評価において、2014年は1位がロンドン、2位がシンガポール、東京は9位です。

アジアでは、シンガポール、上海、北京、香港、ソウルに次いで6番目です。

2009年を振り返ってみると、東京は世界7位、アジアでは4番目でしたので、世界でもアジアの中でも後退していることになります。

日本の国際競争力低下は、GDP規模の相対的な低下もありますが、経営者視点のランキングに見られるように、日本でビジネスを行う魅力が低下してきていることが考えられます。

具体的には法人税率が世界的に高いことや、雇用の柔軟性に欠けること、外国語教育などの教育面(英語を使える人材など)、外国人雇用等に関する法制度などが挙げられます。

1964年東京オリンピックや1972年7月に誕生した田中角栄総理大臣の下での日本列島改造論によって整備されてきた日本のインフラは、2020年に向けて本格的な補修が必要になってきます。

財政状況が悪化するなかであっても、こうしたインフラの補修費用を捻出しなければ、日本の国際競争力は低下していく一方です。

都市部で集めた税金を地方にばらまくやり方は破綻をきたしていますので、地方のインフラについては取捨選択しなければならない状況になってきています。

2013年9月7日、2020年夏季五輪の開催都市を決める国際オリンピック委員会(IOC)総会がブエノスアイレスで開かれ、東京が選ばれました。

決定の瞬間はテレビでも生中継され、日本全体が盛り上がりました。

2020年、従来予測されてきた超悲惨な日本の将来が変わると思いませんでしたか?

また、現在の延長線上である悲惨な状況のなかでオリンピックを開催するのではなく、プライマリーバランスを改善し、国際競争力を高い水準に再び回復させるための努力をしよう、TPPなどに対して国内を保護することだけを考えるのではなく、世界に通用する産業を創り出そうという動きも出てきたと感じています。

2020年オリンピックと同時にパラリンピックも開催されますので、高齢化が世界で最も進んでいる日本は高齢者に優しい都市づくりを推奨しています。

以上のような背景も手伝って、2020年は明治維新のような大きな転換点になると考えています。

長年にわたって栄華を極めた江戸幕府も、大政奉還間際はそれまでのやり方が通用しなくなっていました。

同様に、バブル崩壊まで急速な発展を遂げてきた日本のあらゆる制度は、今や崩壊の危機に瀕しており、大きく改革しなければならないときを迎えています。

再び文明開化を呼び起こすタイミングが到来しているのです。

 - 経済の知識